沈黙の叫び

2020.06.27 Saturday

沈黙の叫び

 

 

 

積み重ねられた、赤き肉たち。
じっと冷やされ、整然と、清らかに並ぶ。

 

まるでそれは、あたかも、はじめから肉であったかのように、
人々は肉の沈黙に甘んじ、その叫びを見ようともしない。

 

思いを馳せろ。
それは、かつて、生きていた。

 

食べるために繁殖させ、育て太らせ、そして殺す。
その営みに、誰もが少なからず胸を痛めながら、
そこに潜む残虐性からは目を背け、見て見ぬふりをしている。

 

生きたまま宙に吊るされ、血をたれながし、死んでいく。
その苦しみを、その恐怖を、一度でも考えたことがあるか?

 

恐ろしい作業は、見も知らぬ他人にまかせ、
自分は虫も殺さぬような顔をして、
次から次へと肉を頬張り、飲み込むように、あっという間にたいらげる。

 

毎日毎日、あらゆる肉を食べ尽くしておきながら、

己は誰にも食べられずに済むのだから、人間とは本当にいい気なもんだ。

 

「おいしく食べてくれてありがとう」などと、思っているわけがないだろう。
食べられることを望んで生まれてくる命など、
ひとつとしてない。

 

目をそらすな!

考えろ。考えろ。答え出せずとも。

真実をみつめる覚悟をもて。


すべての人間が、他を食す者すべてが、痛みを抱える義務がある。責任がある。

 

わたしたちが口にするそれは、「食材」などではない。
材料などではない。「命」だ。

 

命の、成れの果て。
苦しみと悲しみ。叫びのかたまり。

 

肉は、沈黙の中にある。

 

 

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